好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】
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背中を張り付けた壁に、自分の脈動が移ってしまったようだ。
今目にした、愛しい子。
「何でここにいんだ……」
ここは紛れもなく病院。しかもかなりの病床数を誇る大病院である。
「まさか……傷、治らなかったとか……」
いや、あの折の傷は完治させたし、今も調子が悪そうなところはなかった。
「にしても」
何で。
逢わないと決めた子に、逢ってしまうのだろう。
そこにいたのは間違いなく真紅だった。