クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「……リュシオンのせいで、カサンドラ様は足に傷を負ったと聞いているわ。具体的に何があったの?」

 それまでペラペラと語っていたヘルマンも、さすがに妹のことになると、軽々しく話すのを躊躇うようだった。

 けれど、応えない訳にはいかないと思ったようで、気まずそうな顔をしながら話し始めた。

「あの怪我は、カサンドラが八歳になったばかりの頃です。その頃のカサンドラは今と違ってお転婆で、俺達の遊びに付いて来たがったんですよ。危ないから駄目だって言ったけど、あいつ置いていくと泣くから仕方なく連れて行くこともあったんです」

 今のカサンドラからは、想像が出来ない姿だ。
 でも、子供の頃に兄と遊びたい気持はよく分かる。私も幼い頃はお兄様に遊んで欲しくて、城で見かけた時には後を追いかけたりしていたもの。
 
 私はヘルマンに頷いてみせ続きを促す。

「それでその日は俺達……リュシオンとか一緒に剣を習っていた連中なんですけど、町に出かることにしていたんです。ベルツの町は治安がいいし、俺達だけで何度か行ったことがあったから」
「まさか、カサンドラ様も連れて行ったの?」

 いくら治安が良くても、外遊びになれていない令嬢を子供達だけで連れ出すのは危険だ。

「はい。でもカサンドラには侍女が付いていました。そうしないと母上に怒られると思ったから」
「そう」

 意外とまともな判断力はあったんだ。そんなことを内心思っていると、ヘルマンは顔をしかめた。

< 105 / 164 >

この作品をシェア

pagetop