クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 閉じ込められた部屋に沈黙が広がる。

 しばらくすると、ヘルマンが力なく言った。

「今、グレーテ様がこんな所に閉じ込められてるのは俺のせいですね」
「……え?」
「俺がサウル王子を信用してしてグレーテ様を呼び出したから。サウル王子の言いなりになって、アンテス城での謁見のときにバラークの接触のことを伝えなかったから……レオンハルト様に会った時に何もかも話しておけば良かったんだ。そしたらグレーテ様がベルツに来る事はなかっただろうし、誘拐なんて起きなかった」

 ヘルマンは、カサンドラの誘拐の件から今の状況を繋げ、自己嫌悪に陥ってしまっているようだ。

 私はもう何度目か分からない溜息を吐きながら口を開く。

「カサンドラ様のときと同じよ。あなただけのせいじゃないわ。呼び出しに応じて、人気の無い場所にのこのこ出て行った私も悪いもの。もっと言えば、謁見のとき隠し事をしているあなたに気付かなかった兄も迂闊だったかもしれない。あなたのお父様も、ベルツ家の当主として屋敷の警備を管理しきれてなかった。誰かひとりのせいにしても仕方無いわ」
「グレーテ様……やっぱり俺がレオンハルト様に話していれば……」
「えっ、ちょっと?」

 突然泣き出したヘルマンに、私は激しく動揺した。男の人がこんな風に泣き出すなんて見たことがなかったから。

 慌てながらも、なんとか落ち着かせようと優しい声で言う。

「お兄様に黙っていたのは、サウル王子の命令なのよね?」
「はい……ベルツ家の滞在中自分から説明したいからと言われて」
「そう。それなら仕方ないわ。あなたはサウル王子を信頼していたのでしょう?」
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