クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「ですからグレーテ様とは婚約解消だと言っていますのよ。抵抗しても無駄だわ。国王陛下の直属の騎士になれば、辺境伯だって口出しできないもの」
「そんな……」
「だから私言ったのです。グレーテ様の方から婚約解消をして欲しいと。あれはあなたの為だったのですよ? 振られるより自ら言ったほうが自尊心を守れると思ったから。私の優しさだったのですよ?」

 私はカサンドラにとって、強い憎しみの対象だったようだ。

 今までになく敵意に溢れた口ぶり。あまりに無礼な態度。

 だけど私は言い返す力がない。
 この場でリュシオンに、真実を問い質す勇気も。

 あんな冷たい目を見てしまったら、恐くて何も言うことが出来ない。

 もうここから消えてしまいたかった。

 リュシオンを支配しようとするカサンドラが許せなくて、責めてしまったけれど、余計なお世話で私こそ邪魔物だったようだと分かったから。

 心が痛くて冷静さなんて失ってしまっていた。

 足の怪我も忘れて立ち上がる。

 遠慮なく力を入れてしまったからか、その途端に強い痛みが全身を貫いた。

< 141 / 164 >

この作品をシェア

pagetop