クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「な、何を言って……」

 激しく動揺する侍女に、リュシオンは追い詰めるように言った。

「カサンドラ様の手足となり、サウル王子と連絡を取っていたのはお前だろう。既に調べはついている」
「えっ?」

 私は思わず声を上げてしまう。

 今のリュシオンの話だと、ヘルマンだけでなくカサンドラまでがサウル王子に協力をしていたということなの?

 そんな、まさか……。

 傷のせいで社交界にすら出られないカサンドラが、そんな大それたことをするなんて。

 だけどそれは間違いなく真実なのだろう。

 リュシオンは誰よりも気遣っていたカサンドラに、私が震え上がってしまうような鋭い声で言った。

「カサンドラ様、グレーテの誘拐に手を貸した事は許される事では有りません。あなたの身柄を拘束しアンテス城へ連れて行く」
「ま、待って、嘘でしょう?」

 カサンドラは真っ青になって唇を震わす。

「確かな証拠が挙がっています。あなたが共犯者であることは間違いない」

 はっきりと言い切るリュシオンに、カサンドラは瞠目して、それから勢いよく立ち上がりリュシオンに詰め寄った。

「証拠なんてどこかにやってしまえばいいわ! リュシオンが何とかしなさいよ! 私に償うのでしょう? どんなときだって私を守るのではなくて?」

 激しく動揺するカサンドラを見下ろすようにして、リュシオンは言った。

「償いをしようと自分自身に誓っていました。だが私が守りたいと思うのはあなたではありません」
「え?」
「私の守りたい人は、人を傷つける事などしない真っ直ぐで心優しい人だ。その人を傷つけた貴方を私は決して許さない」

 リュシオンが本気だと感じたのか、カサンドラは言葉を失い戦慄いた。
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