クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 じわりと視界が歪んでくる。

 こんな肝心なところで、リュシオンをしっかりと見つめることが出来ないなんて……だけどあまりに嬉しすぎて涙が溢れて止まらない。

「他の人じゃなく、私だけを想ってくれている?」

 カサンドラではなく……お姉様ではなく私だけを愛してくれる?

 震えながら問うと、返って来たのは言葉ではなく……フワリと背中に回るリュシオンの腕だった。

 リュシオンの腕の中は温かく、彼の鼓動を感じられる。

「リュシオン……好き……大好き」

 気持が抑えられなくて、唇から零れ落ちる。

 リュシオンの腕の力が強くなり、私は彼の胸に引き寄せられる。

 こんな風にリュシオンから抱き締めて貰うのは初めてだ。

 これ以上ないくらい胸が高鳴っているのに、でもずっとこのまま抱き締めていて欲しい。

 リュシオンが大好き。

 頭の中はそれだけで、何度も気持を伝えながら逞しい胸に顔を寄せた。

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