クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「ラウラ姫のことは主として大切に思っています。フェルザー公爵と共に幸せになって欲しい……でもグレーテのことは、私といるより幸せになれるだろう相手がいたとしても手放せない」
「え……」
「覚悟してください。私は独占欲が強いし、諦めも悪い。グレーテが嫌になっても逃さない」

 いつになく甘く囁かれ、言葉が喜びになって身体を巡っていく。

「……嫌になんて絶対ならない! だって、私はリュシオンが大好きなんだもの……リュシオンだけだから」

 そう言いながらリュシオンの首に腕を回ししがみつく。

 もう絶対離さない。

 この強くて優しい腕が抱くのは私だけであって欲しい。そう強く願った。






 リュシオンに気持を伝え、彼の想いを聞いて、しばらくその力強い腕に包まれ甘えてすっかり満足した私は、とりあえず医師の診察を受けることになった。

 サウル王子やカサンドラのことなど聞きたい事はまだ有ったけれど、いい加減リュシオンの忍耐の限界になってしまったようだ。

 怪我の治療は早めに。リュシオンの持論みたい。


 足の怪我は予想より重傷で、一ヶ月は安静が必要とのこと。

 転んだだけでこんな大事になる自分の脆弱さに慄きながらも、言われた通り安静を心がけることにした。

 ベッドで横になりながら、リュシオンに続きを聞こう……そう思ったのだけれど、安心したせいかそのまま目を閉じ眠ってしまった。

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