クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
私の声が聞こえたのか、エーリヒが答えた。
「はい。リュシオンの父にございます」
この人がリュシオンのお父様……。
エーリヒは、リュシオンと同じ赤髪に白髪混じり中年の男性だった。鍛えられた逞しい体付きをしていている。
リュシオンの婚約者としてもっと話したい事が有るけれど、ベルツ家当主を差し置いて長々と話す事は出来ない。
「グレーテ・アンテスです。お出迎えありがとうございます」
今はそれだけ言い、次の人の挨拶を受けた。
一通り挨拶が終ると、私の滞在する部屋に通された。
しばらくすると、部屋とその周囲の確認をしたリュシオンが戻って来た。
「特に問題は有りませんでした」
「良かった。リュシオンがそう言うなら安心ね」
「長旅で疲れたでしょう。夜の会食まで時間がありますので休んでください」
「ありがとう……ねえ、リュシオンも座って」
立ったままのリュシオンを見上げて言う。リュシオンは斜向かいの椅子に腰をかけた。
ホリーに視線を送ると、リュシオンとふたりで話したいと言う私の意を察してくれたようで、「荷物を片付けて来ます」と言い、続きの寝室へと出て行った。
ふたりになると、私は早速リュシオンに言った。
「リュシオンは何時までここに居られるの?」
「会食の前には発たないとなりません」
「そう……あまり時間無いのね」
分かっていた事とは言えがっかりしてしまう。それに……、
「発つ前に、お父様と話さなくていいの?」
「はい。リュシオンの父にございます」
この人がリュシオンのお父様……。
エーリヒは、リュシオンと同じ赤髪に白髪混じり中年の男性だった。鍛えられた逞しい体付きをしていている。
リュシオンの婚約者としてもっと話したい事が有るけれど、ベルツ家当主を差し置いて長々と話す事は出来ない。
「グレーテ・アンテスです。お出迎えありがとうございます」
今はそれだけ言い、次の人の挨拶を受けた。
一通り挨拶が終ると、私の滞在する部屋に通された。
しばらくすると、部屋とその周囲の確認をしたリュシオンが戻って来た。
「特に問題は有りませんでした」
「良かった。リュシオンがそう言うなら安心ね」
「長旅で疲れたでしょう。夜の会食まで時間がありますので休んでください」
「ありがとう……ねえ、リュシオンも座って」
立ったままのリュシオンを見上げて言う。リュシオンは斜向かいの椅子に腰をかけた。
ホリーに視線を送ると、リュシオンとふたりで話したいと言う私の意を察してくれたようで、「荷物を片付けて来ます」と言い、続きの寝室へと出て行った。
ふたりになると、私は早速リュシオンに言った。
「リュシオンは何時までここに居られるの?」
「会食の前には発たないとなりません」
「そう……あまり時間無いのね」
分かっていた事とは言えがっかりしてしまう。それに……、
「発つ前に、お父様と話さなくていいの?」