クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
 支度を終え迎えを待つ間に、今夜の主賓について再確認をする。

 シハレフ王の甥であるサウル王子。
 国王に子が居ない為、次期シハレフ王の最有力候補の方だ。

 父君はシハレフ王弟で、母君はシハレフの上位貴族の養女となった女性。生家はベルハイム王国アンテス辺境伯の配下であるベルツ家だ。
 現ベルツ家当主の甥にあたり、ヘルマンとカサンドラとは従兄弟の関係になる。

 だからこそ、非公式の外遊の滞在先にベルツ家が選ばれたのだそうだけど、今更のように思った。

 本当に、ただ遊びに来ただけなのだろうかと。

 シハレフの中枢にいる人物なら、今のアンテス領はバラークの件で緊張が高まっている状況だと分かっているはずだ。

 決して安全とは言い切れない。
 普通なら、予定を延期するのではないだろうか。

 王族が危険を冒してまで来るくらいだ。もしかしたら、何か別の目的が有るのかもしれない。だとしたらそれは何?

 考え込んでいると、ホリーが心配そうに声をかけてきた。

「グレーテ様、どうかしましたか?」
「あ、何でもないわ」
「でも眉間に物凄いシワが寄っていましたよ?」
「ちょっと考え事していたの。でももういいわ」

 自分の眉間をそっとさすりながら言う。後がつたら大変だ。

 そして、サウル王子の目的について今考えるのも諦めた。
 いくら考えても、基本的に情報不足の私に答えを出せる訳がないのだ。

 それに私が思いつく疑問程度は、既にお兄様やリュシオンが調べているだろう。

 とにかく実際王子に会ってみてから考えよう。

 もし会話をして気になる事があれば、お兄様達に報告をすればいいのだ。
 その辺は名代としてしっかりと行動しないといけない。


 一時考えを中断してホリーと他愛ない会話をしていると、ベルツ家の使用人が向かえに来た。

 晩餐会の始まりだ。
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