クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
「バラークは基本的に他国との交流を行っていませんから当然シハレフとも何の関係もない。ですが、シハレフの上層部の一部では同盟の申し出を受けるべきだとの話も出てきたそうです」

 これには思わず口を挟んでしまった。

「なぜ? シハレフはベルハイムの友好国なのに」

 ヘルマンは私の剣幕にたじろぎながら答えた。

「バラークは同盟の暁には、バラーク国の領土の通行を認めると申し出て来たそうです。シハレフはその豊かな資源を他国へ売り利益を得ている国です。貿易相手はバラーク国の向こう側にもある。今まではバラーク国を迂回する為、とても長い時間をかけて品物の運搬をしてましたが、バラークの領土を通過出来れば時間短縮になり相当な利益が見込めるそうです。その為に同盟賛成派が存在しているそうです」
「……」

 シハレフがバラークと同盟を組んだら、バラークの国力は上がってしまうはずだ。
 そうなればアンテスは戦いの時、苦戦してしまうかもしれない。

 リュシオン達の危険が大きくなってしまう。巻き込まれた領民達も無事で居られないかもしれない。

 なんとか同盟を防ぎたい。その為には一刻も早くお父様かお兄様にこの事を伝えないと。

 だけどその前に私はもっと有益な情報を得なくてはならない。

 でも……何を優先して確認すればいいの?
 こんな事になれていない私にはとても難しい事だ。

 ああ、今リュシオンがここに居てくれたら。

 私は焦燥感にかられながら唇をかみ締める。

「グレーテ様?」

 ヘルマンが様子を窺って来る。

「……こうやって相談してくれると言う事は、サウル王子は同盟反対派なのですよね?」

 念の為問うと、ヘルマンが得意気な笑顔で頷いた。

「当然です。サウル王子の母君は我が伯母ですから」
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