捨てられた町
愛菜は何かを感じ取っているのか、さっきから俯いてばかりで僕の顔を見てくれなかった。


「愛菜、こっちを向いて」


僕は自信満々でそう言った。


まだ何も伝えていないのに、その答えはもう知っていて、だからこその余裕があった。


もちろん緊張していたし顔は真っ赤になっていたと思う。


だけどそれ以上に、伝えたい気持ちが強かった。


愛菜がゆっくりと顔を上げて僕を見た。


視線がぶつかるともう離れない。
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