捨てられた町
「冗談だろ!?」


カエルが叫ぶのと同時に、傘が「お願いします!!」と、更に大きな声で頭を下げていた。


「なんで俺がお前のために軒下に入らなきゃならないんだよ」


「お願いします! カエルさんにしか頼めないことなんです!」


傘は頭のてっぺんが地面につくほどに頭を下げている。


そのままコロンッと転んでしまいそうだ。


華奢な足は自分の体を支えるためにプルプルと震え始めている。


そんな傘を見てカエルはしかめっ面をした。


ここまでやられたら断る事なんてできない。


カエルはブツブツと文句を言いながらも軒下へと入って行ったのだった。
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