捨てられた町
ネックレス
暗い軒下にカエルが入り込んで数分が経過していた。


時々「うわっ!」とか「真っ暗で何も見えない!」と言ったカエルの声が聞こえて来る以外には何も変化は見られない。


本当に軒下に雨の形をしたキラキラ光るものなんてあるのだろうかと、首をかしげる。


その時だった。


不意に軒下から何かが飛び出して来た。


それがなんなのか確認するより先に傘がそれを握りしめていた。


「あった! 雨に似た形のキラキラ光る物!」


傘はそう言い、何かを両手で握りしめて喜んでいる。
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