捨てられた町
一体なんだろう?


そう思って近づいて手の中を確認してみると、雨の形をした水色のネックレスだったのだ。


そのネックレスは傘の手の中ガタガタと震えている。


「なんだよ、あったのか?」


軒下からそんな声が聞こえて来たカエルが出て来た。


その体には沢山の泥と蜘蛛の巣が張り付いていて、無様な格好だ。


「探し物はネックレスだったみたい」


僕はそう言い、傘が持っているネックレスへ視線を向けた。


ネックレスは手の中でジタバタと暴れて逃げたそうにしている。
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