捨てられた町
その証拠に、カエルは僕から視線を外し、他の連中は目を見開いて僕を見た。


僕は事故に遭ってここへ来たわけじゃない。


本当は……。


「見ていた」


カエルが一言そう言った。


「だと思ってた。僕がここへ来ることも知っていて、あの丘の上まで迎えにきたんだろ?」


「そうだ。ルキを1人にすることはできないだろ」


「僕がカエルを捨てたのは祖父が引っ越しをする時だった。つまり、カエルは隣町の【捨てられた町】にいるはずだ」


僕はずっと抱えていた違和感をついに口に出す事ができた。
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