Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完

――バンッ



俺は宮下を壁に押さえつけた。



「宮下」



「ははははい」



宮下は壁に頭を擦りつけて、まるで小動物のように怯えた目で俺を見る。



「お前、ベルナルドに日本人は人前でイチャイチャしねー人種なんだよって言え」



「えーーでも」



「でも何だよ?」



口答えする気か、この俺に。



ああ?



「でででもあの、ここへ来る途中見ちゃってるんで…」



「見ちゃってるって何を?」



「何って…その…街中で堂々とキスやハグしてるカップルとか、信号待ちの車中でイチャイチャしてるカップルとか」



「…」



…ったくずいぶん日本も欧米化したもんだよな。



昔からの恥じらいの心ってのは一体どこに行ったんだ?



どこに。



って俺も過去の行いからして人のことは言えないけど…



「きゃっ…」



「!」



そのとき事務所から村瀬の小さな悲鳴が聞こえた。



「――!?」



慌てて室内を覗き込むと、村瀬の髪を撫でつけて甘い微笑みを向けているベルナルド。



何してンだ、あいつ…



「やだぁもー…ベルナルドさんってばー」



「HaHaHa♪」



何だかイイ感じの2人…



村瀬…



あいつ男に触られんの苦手なハズなのに、ベルナルドに髪を撫でられてなに満更でもなさそうな顔してんだよ?



ベルナルドはベルナルドでその甘い微笑みは外国人ってだけで日本人より糖度100倍って感じだし?





「…」







…気に入らねぇ。







…マジで気に入らねぇから。





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