Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「おまえ何してンだよ――」
気づくと俺は腹の底から低い声を出して、
村瀬の髪に触れていたベルナルドの腕を力いっぱい掴んでいた。
――なに気安く触ってンだよ、
いくら外人だからって馴れ馴れしすぎるぞ。
俺は、村瀬から男に触れられるのが苦手と聞いて以来、何度となくこういう状況から助けたことがある。
だから今回も当然のように村瀬に気安く触れるベルナルドに牙を剥いた。
昔は正義感っつーかボランティアみたいな感覚だったけど、今は事情が違う。
――村瀬に気安く触んな。
当惑気味のベルナルドをきつく睨みつけると、村瀬が慌てて俺たちの間に割って入ってきた。
「違うの福嶋くん。ゴミを取ってくれただけなの」
「ゴミ?」
「髪の毛に糸くずがついてて、ほらコレ」
そう言って村瀬は俺が掴んでいた腕のほうの拳をベルナルドに開かせる。
…ホントだ。
ベルナルドの手のなかには糸くずが入っていた。
勘違いと分かって即座に手を離そうとすると
今度は俺の腕をベルナルドが力いっぱい掴んできた。
…?