Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完



「わあ、お会いできて感激ですっ。ね、綾乃♪」



「ぅっ…うんっ」



興奮気味にうなずくと、まるで火花でも散ったかのように小早川さんの視線とあたしの視線がぶつかり合った。



精悍な顔立ちに切れ長の瞳。



なのに瞳の奥はひどく荒涼としていて、背筋が凍りつくような冷淡さがある。



たしか傲慢で利己主義っていうふうに週刊誌に叩かれていたこともあったっけ。



最近では以前にも増してデザインセンスも奇抜になってしまったから人を選ぶし、そのせいで本人はとっつきにくい印象をもたれるのかも知れないけど。



でも人柄はともかくとして、あたしは小早川さんの作り出す世界観には心に何か訴えかけてくるものがあって、空虚感や寂寥感は感じるけど、ときどきその場に立ち尽くしてみたい気持ちになる。



雑誌などでしか見たことのない小早川さんの建造物だけど、写真に触れただけでそこにどんな風が吹いているのか、どんな匂いがするのか、どんな空が頭上には拡がっているのか何となく分かる気がするんだ。





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