Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[前編]完
「…そういえばさ」
カチャリとコーヒーカップを碗皿に置くと、西崎さんがさっきまでとは打って変わって真面目な顔をして言った。
「気を失ってる間も泣いてたけど、…なんで?」
「え…」
気を失ってる間も泣いてた…?
あたしはちょっと考え込む。
そういえばなんか夢見てたっけ…
白い靄のなかに消えていく西崎さんに、力のかぎり叫んで呼び止めていたこと。
「なんかそれって俺が死ぬみたいだな(笑)」
笑い事じゃないよ、西崎さん…
あたし本気で悲しくて辛かったんだから――
「…後さ」
また真顔になる西崎さん。
真剣な瞳でまっすぐ見つめられて胸がドキドキと高鳴る…
何だろう西崎さん…あらたまって……
少しの沈黙の後、西崎さんはためらいがちに口を開いた。
「村瀬あのさ、…優花――」
――ピンポーン
西崎さんが何かを言いかけたと同時にインターフォンが鳴って、言葉が掻き消された。