Distance
「あ、そうだわ、なほちゃん。コズミックランドって知ってる?」
「え?あ、はい…」


店長の奥さんは、レジの下の、さっき私が筆ペンを出した引き出しの中から細長い紙を二枚、取り出した。


「常連さんが働いてて。割引チケットをくれたから、なほちゃん使わない?」
「え…いいんですか?」
「ええ、さっきデートがどうとか聞こえたから。良かったら彼と行ってみたら?今、七夕のイベントをやってるみたいよ」
「ありがとうございます!」


コズミックランドは人気の遊園地。
昔はよく行ったんだけど、成人してからはすっかり足が遠退いていた。
最後に行ったのは、高校の卒業記念。寿士と義仁先生と、それから書道教室の他の生徒たちと行ったっけ。


「懐かしいな…」


楽しかったな、いろいろあったけど。
村越さん、ジェットコースターとか好きかしら。今日のデートで聞いてみよう。

一日の勤務が終わり、私は村越さんとの待ち合わせ場所に向かった。
テスト期間が終わって、ちょっと余裕が出来たから美味しいものでも食べに行かない?と誘われたのは、人気のイタリアンレストランだった。


「おーい、なほちゃーん」


のんびりした声で呼びながら、村越さんがそのレストランの前でこちらに手を振っている。
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