Distance
「やっぱ外で食べる料理は口当たり新鮮で美味しくって、つい食べ過ぎちゃうんだよね~」
「分かります、北京ダックとか家で食べれないもんね」
「そうそうそう」
私は呼び鈴を押し、オーダーを取りに店員さんに杏仁豆腐を頼んだ。
「なほちゃんて、料理とかするの?」
仰け反って、両手を畳に着くリラックスした体勢で、村越さんが言った。
「独り暮らしだから、一応自炊はしてるんですけど…」
「そっか、若いのに偉いなぁ。僕も今度食べてみたいな、なほちゃんの手料理」
「え……」
ジャスミンティーの器を持つ手が、ぴくっと微動した。
目だけで斜め横を確認すると、村越さんが目を細めてこっちを見ている。
なんだか、普段よく目にする、にこにこ笑顔の目の細さとはどこか違った雰囲気で、一瞬背筋に冷たい空気がすーっと走った。
「で、でも私、あんまり得意じゃないからなぁ…」
「前から思ってたんだけど。なほちゃんってなんか、良い匂いがするよね」
耳の後ろ、うなじの辺りがゾッとした。
今度は比喩とかではなく、実際に生暖かい風を感じたのだ。至近距離で。
今の今まで、リラックスモードだったはずの村越さんが、私の背後に回り、耳元で囁いたのだ。
「分かります、北京ダックとか家で食べれないもんね」
「そうそうそう」
私は呼び鈴を押し、オーダーを取りに店員さんに杏仁豆腐を頼んだ。
「なほちゃんて、料理とかするの?」
仰け反って、両手を畳に着くリラックスした体勢で、村越さんが言った。
「独り暮らしだから、一応自炊はしてるんですけど…」
「そっか、若いのに偉いなぁ。僕も今度食べてみたいな、なほちゃんの手料理」
「え……」
ジャスミンティーの器を持つ手が、ぴくっと微動した。
目だけで斜め横を確認すると、村越さんが目を細めてこっちを見ている。
なんだか、普段よく目にする、にこにこ笑顔の目の細さとはどこか違った雰囲気で、一瞬背筋に冷たい空気がすーっと走った。
「で、でも私、あんまり得意じゃないからなぁ…」
「前から思ってたんだけど。なほちゃんってなんか、良い匂いがするよね」
耳の後ろ、うなじの辺りがゾッとした。
今度は比喩とかではなく、実際に生暖かい風を感じたのだ。至近距離で。
今の今まで、リラックスモードだったはずの村越さんが、私の背後に回り、耳元で囁いたのだ。