Distance
「い、いやいやいや…。じゃああの、なほちゃんのお隣さんのお言葉に甘えちゃおっかな!」


ははは、っと渇いた笑いで村越さんは、本当に寿士から傘を借りて、帰って行った。
見送りながら私が、「気を付けてくださいね」声を掛ける。そしたら相手は、のっそりとしたリズムで振り向いた。


「なほちゃん。コズミックランド、金曜日でいいんだよね?」
「あ、はい!」
「おっけー。じゃあまた、連絡するね」


振り向いた村越さんは、傘を片手に、着ぐるみみたいなコミカルで不器用そうな動きで手を振った。


「お前の彼氏、ゆるキャラっぽいな」
「は?」


ムッとしながらも、私は内心寿士の意見に同意した。


「ふてぶてしいゆるキャラ。」
「は!?それどんなゆるキャラよ」
「別に、助けた訳じゃねーよ?勘違いすんなよ」


がじゃがじゃと、力任せに穴に差し込んだ鍵を回しながら、寿士は溜め息を吐いた。

ふ、ふてぶてしい…?
どこが?

毎回毎回、ファンだからって店長の奥さんからサービスで大量にパン貰って、お礼を営業スマイルで済ませてるあんたの方がよっぽどふてぶてしいだろうが。

と、思ったのも束の間。


『できたら、君んちで、あまや』
< 20 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop