Distance
あの続きって。
もしかして……雨宿り?


『僕、なほちゃんと早く二人きりになりたいなって、ずっと思ってたんだよ』


そこでようやく、合点がいった。
村越さん、うちに寄ってくつもりだったんだ…。こういう流れに免疫がないからぴんと来なかった。


「食う?」
「へっ!?」


もしも今、タイミング良く寿士が帰ってきてなかったら…と考えていた私の目に、見慣れたお店の紙袋がどアップで映った。パン屋の紙袋。


「初恋パン。」
「へ?あ、ああ…レモンヨーグルトパンだけどね」
「なに突っ立ってんの?入ったら?」


半開きのドアを押さえた寿士は、立ち尽くす私を半ば呆れたような目で見て言った。


「う、うん…」


辿々しく頷いて、私は玄関に入った。
(まだ食べたことないから興味はあったし、)新作パンを一個分けて貰って、すぐに引き返すつもりでいたら。


「ビールでいい?」


単身者用の、小さな冷蔵庫の扉を開けた寿士が、350ミリリットルの缶を目の高さで掲げた。
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