Distance
店長の奥さんは、「あら、そーお?」ちょっと残念そうに肩を落として言った。


「よお」
「あ、うん…はい。」


一拍間があってから、私は磨き立てでぴかぴかのトレイを寿士に差し出した。

…なんだか、昨日の今日で気まずくて、真っ直ぐ目を見られない。もじもじと目線を泳がせて、トングも渡そうと手を伸ばしたら。


「っあ!」


ちょうどタイミング良く伸びてきた寿士の手がちょん、とぶつかって、私は直ぐ様手を引っ込めた。


「あ、悪ぃ」
「い、いや…」


クロワッサンを取りに行った寿士の後ろ姿をちらちら見ながら、さっきの態度は大袈裟すぎたかな、と反省する。
ちょっと変なこと言われたからって、意識しすぎかな…。


「ねえ、どうしたの?あなたたち。なにかあったの?」


店長の奥さんが不審そうな目で、私たちを見比べた。


「へっ?な、なにかって、なんのことですか!?」
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