Distance
ときめいたり、愛情を深めたり出来る身分じゃない。

だって、気付いた。
サンタは寿士じゃないし、村越さんはサンタじゃない。

今、一番会いたいのは誰?って。
もし神様に聞かれたら、私__…


「__あ、あそこで短冊配ってる!村越さん、行こう!」


強引に話題を変えた私に、村越さんは「へぇ!?」というすっとんきょうな声を上げた。

名残り惜しげに、川からなかなか離れずにいる村越さんに構わずに、私はスタッフから短冊を数枚貰うと、屋根があるテントの中のテーブル席に移動した。
休憩中の親子連れが、私と同じ短冊に願い事を書いている。


「そんなに叶えたい願いがあるの?なほちゃんは。」


ショルダーバッグから、手帳用のペンを取り出した村越さんが、呆れたような声で言った。


「えへへ、まあ…」


空いていたテーブル席に着き、村越さんからペンを借りた私は、代わりに短冊を一枚渡した。


「ここ、キッズスペースがあるからか、やっぱ子供連れで混んでますね」
「うん。この辺はお手洗いも混んでるんだよね。赤ちゃんのお世話スペースがあるからさ」
「へえ、そうなんだ…」
< 38 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop