Distance
詳しいなぁ、と思い、私は短冊に文字を書く手を止めた。


「私ね、見たんだけど」
「え!」


私の言葉を途中で遮った村越さんは、緊迫した顔で言った。「な、にを?」


「子供」
「こ、こど……!?」
「が、書いた短冊を」


言い終えた私は、どうして村越さんてばこんなに焦燥して話の骨を折ってくるのかしら…?と不思議に思った。


「な、なぁんだ~。紛らわしい倒置法だね、なほちゃんてば!ははは」
「村越さんは、子供」「え!?」


今度は周囲の家族連れから注目を集めるくらいの、大きな声だった。「こ、子供!?」と、復唱した村越さんの声が。


「…えーと。村越さんは子供のとき、お願い事なんて書いた?って聞こうと思ったんだけど…」
「あ、ああ。子供のときね!なんだったかな~、恐竜になりたい、だったかなぁ。あー忘れちゃった。荒唐無稽だよね、僕が悪いよねっ、ごめんね!」
「い、いえ……」


目の前で拝む動作をした村越さんに、私は力無く両手を振った。
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