Distance
村越さんの、純粋な気持ちに応えられる自信がない。


「なほちゃん…」


囁くように言った村越さんは、寂しげに目を細めた。


「あのっ!村越さんは、合コンで出会ったときからすごくお話が面白くて、お食事してて楽しくて。だからその、こういった風にもっとデートを重ねてから」
「あのね、なほちゃん」
「へ…?」


私の手を包む、村越さんの手の力がひどく強まった。
ぎりぎりと、小刻みに震えるほど。


「僕はね、僕がどんなになほちゃんに惚れてるか、わかって欲しいんだ!」
「あの、村越さん、手が痛…」
「お願い、お願いします!!」


目を見張った。
相手が、額をテーブルにくっ付けた。


「え…」


…こういうのって、お願いされて致すものなの?違うよね?
お互い離れがたくって、もっとキュンキュンするもんだと思ってたんだけど…。


「あの……頭を上げてください、村越さん」


自分で思ったより遥かに、低く冷静な声が出た。
ゆっくりと、勿体振って顔を上げた村越さんは、にっとはにかんだ。
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