Distance
「なんか僕、もっとお腹が空いてきた!初めての二人で過ごすんだもん、素敵な夜にしたいね!」
「……」
驚きやら呆れやら一通り越えて、鳥肌が立った。
完全に、私が承諾したと勘違いしている。
「すみませーん!」
村越さんが張り切って、店員さんに手を挙げた。
それまで捕まれていた手が解放されたので、私はすぐに膝の上に引っ込める。
赤くなった手の甲を、反対の手のひらで擦る。
もう一度、村越さんに気持ちを話してみよう、と息を吸ったとき。
「__横からやいやい言わせて貰って悪いけど、」
村越さんの背後に座っていた女性客が、いきなり立ち上がって振り向いた。
「全部聞いてたわよ!あんた、また悪い癖が出たわねっ!」
悲鳴のような怒号だった。
一瞬にして、レストラン全体に静寂が訪れた。周囲のお客さんが、皆驚いた様子で目を丸くしている。
その中で断然、ぶっちぎりの一位で驚愕した顔の村越さんは、魚みたいに口をパクパクさせた。
「ひ、久子……!おま、ど、え!?なん、ちょ……!?え!?」
お前どうしてここに?といったようなニュアンスのことを、とても国語講師だと思えないような文法のおかしい日本語で言って、村越さんは嘘みたいにダラダラと、滝のような汗を額から流した。
「……」
驚きやら呆れやら一通り越えて、鳥肌が立った。
完全に、私が承諾したと勘違いしている。
「すみませーん!」
村越さんが張り切って、店員さんに手を挙げた。
それまで捕まれていた手が解放されたので、私はすぐに膝の上に引っ込める。
赤くなった手の甲を、反対の手のひらで擦る。
もう一度、村越さんに気持ちを話してみよう、と息を吸ったとき。
「__横からやいやい言わせて貰って悪いけど、」
村越さんの背後に座っていた女性客が、いきなり立ち上がって振り向いた。
「全部聞いてたわよ!あんた、また悪い癖が出たわねっ!」
悲鳴のような怒号だった。
一瞬にして、レストラン全体に静寂が訪れた。周囲のお客さんが、皆驚いた様子で目を丸くしている。
その中で断然、ぶっちぎりの一位で驚愕した顔の村越さんは、魚みたいに口をパクパクさせた。
「ひ、久子……!おま、ど、え!?なん、ちょ……!?え!?」
お前どうしてここに?といったようなニュアンスのことを、とても国語講師だと思えないような文法のおかしい日本語で言って、村越さんは嘘みたいにダラダラと、滝のような汗を額から流した。