Distance
「離してよ!今度こそ許さないわよ!さっきの会話も一部始終聞かせて貰ったから!」


揉み合いになり、レストランの店員さんが駆けてくる。
ガラス張りの店だから、外を歩く人々からも注目を浴びるほど。


「こんな若い子に頭下げて、私恥ずかしくて生きていけない……!子供だってもう事情が分かる年頃なのよ!?合わせる顔あるの!?」


どん、という強い衝撃が、体全体に走った。
瞬時に視界が真っ暗になって、苦しくて、薄目を開ける。


「い、痛てて……」


頭と、手首の辺りと、それから体全体が押し潰されそうなくらい痛い。
背中に感じるどっしりとした重厚感の正体は、女性に突き飛ばされた村越さんだった。


「お客様、大丈夫ですか!?」


店員さんが切迫した声で言った。
どうやら、バランスを崩した村越さんに押された私は、下敷きになって倒れたようだ。


「__おいっ!なにやってんだ!」


店員さんに引っ張られ、立ち上がった村越さんの下から救出されたとき。
血相を変えた寿士が、こちらに向かって走って来る姿が見えた。
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