Distance
開いたままの傘が逆さまになって、水瓶みたいにその中に露がどんどんたまってゆく。
「僕、軽い気持ちで合コンに参加したんだ!若い子と会って喋りたいなって…。でも、なほちゃんが本当にいい子だから、本気で惹かれちゃって…」
「で、結婚してたこと、隠してたんですか」
「いやっ…!ずっと罪悪感があって、言おうと思ってたんだ!」
「奥さんにバレてなかったら、ずっと隠してるつもりだったんじゃないですか」
私は早口で言って傘を閉じ、バッグの中からスペアキーを取り出した。
「そんなことないよっ!」
鍵を差し込もうとし、黙ったままでいると、頭を下げたままの村越さんがちらりと上目遣いで、こっちを窺ってきた。
「あのイタリアンレストランに行ったとき、中に妻の友人がいたんだ。僕がなほちゃんと一緒のとこ見られてたみたいで。それからなほちゃんのこと、こっそり監視して、妻に告げ口したらしい。妻は僕の様子がおかしいって薄々勘付いてたみたいで、昨日後をつけて来てたんだ」
「…え……」
だとしたら、なんとなく感じていた冷たい視線や、私の周囲をうろちょろしていた透明の傘の正体は、村越さんの奥さんの友人…?
「でも、僕はバレてなかったにしろ、昨日なほちゃんにきちんと真実を伝えるつもりだったんだ!君と、一夜を共にした後で。僕にとっては君が一番なんだ、って…!」
そこで勢いよく顔を上げた村越さんは、
なんだか哀れなくらい、必死めいた表情だった。
確かに昨日、どれだけ想ってるか分かって欲しいとか言ってたっけ。だから朝まで一緒に過ごしてくれ、と。
「__それってつまり、体だけが目当てだったってことじゃね?」
「僕、軽い気持ちで合コンに参加したんだ!若い子と会って喋りたいなって…。でも、なほちゃんが本当にいい子だから、本気で惹かれちゃって…」
「で、結婚してたこと、隠してたんですか」
「いやっ…!ずっと罪悪感があって、言おうと思ってたんだ!」
「奥さんにバレてなかったら、ずっと隠してるつもりだったんじゃないですか」
私は早口で言って傘を閉じ、バッグの中からスペアキーを取り出した。
「そんなことないよっ!」
鍵を差し込もうとし、黙ったままでいると、頭を下げたままの村越さんがちらりと上目遣いで、こっちを窺ってきた。
「あのイタリアンレストランに行ったとき、中に妻の友人がいたんだ。僕がなほちゃんと一緒のとこ見られてたみたいで。それからなほちゃんのこと、こっそり監視して、妻に告げ口したらしい。妻は僕の様子がおかしいって薄々勘付いてたみたいで、昨日後をつけて来てたんだ」
「…え……」
だとしたら、なんとなく感じていた冷たい視線や、私の周囲をうろちょろしていた透明の傘の正体は、村越さんの奥さんの友人…?
「でも、僕はバレてなかったにしろ、昨日なほちゃんにきちんと真実を伝えるつもりだったんだ!君と、一夜を共にした後で。僕にとっては君が一番なんだ、って…!」
そこで勢いよく顔を上げた村越さんは、
なんだか哀れなくらい、必死めいた表情だった。
確かに昨日、どれだけ想ってるか分かって欲しいとか言ってたっけ。だから朝まで一緒に過ごしてくれ、と。
「__それってつまり、体だけが目当てだったってことじゃね?」