Distance
タッパーの上に箸を置いた寿士は、「俺から、いい?」鬱陶しそうに溜め息を吐いてから言った。


「う、うん…どぞ」
「では。こほん。」
「……」
「別に俺、隠してた訳じゃないんだ。ただ、あいつ、なほのことも式に招待したいって言ってたから、いずれ知ることになるだろうな、って。でも、やっぱ知ってたんだな、お前」


正直、私は今寿士が話している内容の意味がよく分からなかった。
けど、いつになく神妙な雰囲気が醸されて、口を挟めずにいる。


「あいつが…、義仁が結婚するって知ったら、なほがショックを受けることは明らかだったし」
「…?」
「最近変だったから、もしかしたら無理に新しい恋でもして、あいつのこと忘れようとして」
「ちょ、ちょっと待って。」


さすがに限界だった。
私は寿士に手のひらを向け、待て、のようなジェスチャーのまま、短時間で寿士の言葉を頭の中でリピートする。

もしかして…。


「あんた、なんか勘違いしてない?」


寿士は不機嫌そうに、「あ?」と気の抜けた声を出した。


「もしかして私が、義仁先生のこと好きだと思ってる…?」


確認のため、ゆっくりとした口調で私が言ったら、「ち、違うのか?」目を見開き、放心したように寿士は言った。

こくり、と小刻みに頷くのを待って、「はあ!?」なにか爆発したように、寿士はテーブルに前のめりになった。

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