Distance
そして立ち膝になり、ベッドの上のサンタをビシッと指差した。


「だってお前、あのクマ大事にしてんじゃねーか。あれ、義仁が出したプレゼントだって知ってて執着してんだろ?」
「いや、違…」
「しかも抱き付いてたしな。コズミックランドで」
「あ、あれは…」


す、すごい…。
綺麗さっぱり勘違いしている…。こんなに現実と思い込みが噛み合わないことがあっていいものか。

…思い込みって怖い。私も人のこと言えないけど。


「極め付けが、あのふてぶてしいゆるキャラな」


すっと腰を下ろし、寿士はまた胡座をかいた。
私は俯くと、覚悟を決めて大きく息を吸った。


「け、結婚するって聞いて、確かにショックを受けたけど、それは寿士が結婚にすると勘違いしたからで…。確かに無理に、新しい恋に没頭しようと試みたけどそれは、寿士を忘れようとしたからで。」


そこで息が続かなくなって、頑張ったから苦しくて、軽くむせた。
今一度箸を持とうとしていた寿士は、一時停止ボタンを押したみたいに、ぴったりと静止している。


「つまり、私……」
「あの、抱き付いてたのは?義仁に」
「ま、間違ったの。寿士のパーカー着てたから」


ふう、という溜め息が、真正面から響いた。静かな部屋に、とても厳かに。


「ごめん」


寿士が声を潜めて言った。
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