マリッジブルーの恋人たち
結婚式まで1ヶ月
 朝、カーテンの隙間から入り込む光がちらつき目覚めると、玲奈の側には抱き締めるように包んでいる昴の姿があった。

 玲奈は、昴の寝顔を見ながら、嬉しそうにしている。

 もう、こんな穏やかな時間は来ないかもしれないと、お互いに思っていたにちがいない。

 やっと最近になって取り戻した幸せの日々。

 玲奈がもぞもぞと昴の腕から抜け出ようとすると、それに気がついたのか、抱き締める手に力を入れる。

「……昴?起きてるでしょ?」

「……………。」

「朝ご飯作らなきゃ。」

「…………………。」

「起きないと、納豆出すよ?」

「……それは嫌だ。」

 朝が弱い昴は、起きるまでに随分時間がかかるため、いつまでたっても起きない時に、玲奈は昴の苦手な納豆というワードを出して、起こしにかかるのだ。

 クスクスと笑う玲奈に、昴は目を細め、眠たそうにしながら"おはよう"と呟いた。

 どちらからでもなく、自然に二人の唇が近づき、チュッと軽めの朝の挨拶をする。

 そして、それと同時に、二人の気持ちを再確認した日のことを思い出していた。
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