マリッジブルーの恋人たち

ー唯一無二の存在だと改めて実感したー 昴side

 待ちに待った今日。嬉しい気持ちと裏腹に、イラつきを隠せないでいた。

 学生時代の友人たちは、久しぶりにみた玲奈の色っぽい姿に驚きはせず、気が気じゃない俺の余裕のない様子を面白がっていたが、会社の方からはどよめきが聞かれた。

『めちゃくちゃスタイルいいじゃん!』
『あんな姿知ってたら、俺だって飲み会であんなこと言わないよ、さすがに。』
『そりゃ八年も溺れるわけか。』

 玲奈に対して否定的だった同期たちは口々にそう呟いていた。
 あれだけ玲奈をバカにしていたのに、着飾るとすぐにこれだ。だから全力で着飾るのを否定したのに。

 でも、玲奈が一目惚れしたドレスは、本当に玲奈に似合っているし、本人も皆に誉められて嬉しそうだ。

 同僚たちの手のひらを返した態度に、同じ席にいる七海は悔しそうにしており、玲奈に嫉妬心を露にしていた。

 会社の女子社員はというと、

『さっき二人の学生時代の人達に聞いたんだけど。麻生さん、わざと地味な姿をさせてたみたいよ!』
『やだ~独占欲?ちょっと可愛くない?』
『でも、武藤さんもよっぽど好きなんだね。好きじゃなきゃ出来ないよ~!?だっておしゃれしたいじゃん!』

 学生時代の友人から聞き出したのか、俺と玲奈のことを話してる。

 
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