あの夏の続きを、今



「………………」


1時間目、2時間目、3時間目、4時間目、給食、昼休み、5時間目、6時間目………


時間はどんどん過ぎていく。


けれど、私の心の中を覆う、どんよりとした雨雲は消えない。


周りの景色はすべて、冷たく沈んで見える。


ハルトに、他に彼女ができるなんて。


あまりにも突然すぎて、私には受け入れられない。


どうすればいいんだろう。


これから、私、どうすればいいんだろう。


この悲しみを、どうすればいいんだろう────


6時間目の学活は、10月の初めにある文化祭の、クラス別の出し物の企画と準備。


だけど、それすらもやる気が起きてこない。


あの瞬間からずっと、身体も心も鉛のように重い。


前の教壇には学級委員長と副委員長が立っていて、話し合いを進めている。


「それでは、班ごとに話し合って、アイデアを考えてください」


そう言われて、班ごとに机を合わせる。


班の中には、席替えで偶然、また前後の席になったリサもいる。


話し合いが進んでいくけれど、なんだか聞く気にもなれない。


「…………と思う?志帆」

「えっ…………何?リサ」

「カフェ的なのをやるのはどう?って聞いたんだけど………志帆、ずっと悲しそうな顔してぼーっとしてるから」

「えーー!?私、そんなに顔に出てるの!?」

「志帆って、思ったことすぐ顔に出ちゃうんだから………なんか、すごく辛そうで、こっちまで泣きたくなるぐらい」

「……なんだかごめんね、リサ」

「ううん、全然大丈夫!私、志帆に元気になってほしいって思ってるから、……私にできることがあったら、なんでも言って」

「ありがとう、リサ……側にいてくれるだけで、十分嬉しいよ……さ、話し合い続けよう」

リサはずいぶん心配そうな顔をしていたけれど、やがていつもの落ち着いた顔に戻り、私たちは話し合いを再開した。
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