あの夏の続きを、今


「終わったぁーーーーーー!」
「楽しかったねーーー!」
「すっごく緊張したーーー!」
「あそこミスしちゃったよー」
「もっと吹きたかったーー!」


バスの中に戻ってきた瞬間、初めての本番を終えた1年生たちが、解放感からか、口々に今日の感想を言い始める。


私も、このステージで、大勢の人に聴いてもらいながら演奏する楽しさを知った。


また、こんな風に何度でも、このステージで吹きたい。


次は、8月の吹奏楽コンクールだ。


やがて、バスが学校に向けて出発すると、私の後ろのほうで続いていた1年生たちの会話の内容は、今日の感想から、この吹奏楽部の男子部員の話へと変わった。


これから学校に着くまで1時間あるし、私は寝ようと思って窓にもたれかかり、目を閉じた。


しかし、初めての本番の楽しさで興奮しているせいか、なかなか眠れず、後ろの1年生たち(ちなみに今年の吹奏楽部の1年生は全員女子)の会話がひたすら耳に飛び込んでくるだけだった。
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