あの夏の続きを、今
仕方ないので私は、眠くなるまでその会話に耳を傾ける。

────ちなみに今、吹奏楽部にいる男子部員は、以前カリンに教えてもらったトロンボーン担当の3年生でカリンの兄でもある「山内先輩」と、松本先輩の2人だけだ。


「山内先輩ってさー、かっこよくない?」

「それ、うちも思ってたよー!かっこいいよねー」

「爽やかイケメンって感じー!」

「見た目のかっこよさなら断然山内先輩ー」

「えー、カリンのお兄ちゃんそんなかっこいいのー?よくわかんない」

「でも、性格は松本先輩が一番だと思うー」

「松本先輩優しいし、面白いもんね!」

「一番頼れる先輩って感じ!」

「トランペットもすっごく上手いし!」

「でも、見た目はあれだよね、悪くはないけど」

「あんまり、かっこいいとは言えないかなー」

「だよね、可もなく不可もなくって感じ?」

「かっこいいと言うより、優しいというか、癒されるというか、そんな感じ?」

「確かにねー。良いか悪いか、って言われたら良い方だけど、かっこいい、って感じではないかな」

「見た目の一番は山内先輩で、性格の一番は松本先輩だね」

「山内先輩の見た目と松本先輩の性格が合わされば最強だと思うなー」

「それ!うちもそう思ってたーーー!」

「確かに!!そうだったらすごく良いと思う!!」


そんな会話を聞きつつぼーっとしているうちに、本番を終えた興奮はいつの間にか鎮まり、代わりに眠気が押し寄せてきた。


私はもう一度目を閉じると、そのまま眠りについた。

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