騎士団長は若奥様限定!?溺愛至上主義
 


「このあと、そこの男にも洗いざらい吐かせれば、言い逃れもできないだろうしな」

「ですが、やはり確実に仕留めるには更なる決め手が必要かと……」

「どうにでもなる」

「え?」

「俺が晩餐会にビアンカを連れて現れれば、どうにでもなるから問題ない」


慎重なジェドに向かってキッパリと、それだけを言い切ったルーカスは、徐ろにビアンカへと目を向けた。

黒曜石のような、美しい瞳。その瞳には強い意志が宿っていて、ビアンカの心臓がバクバクと早鐘を打ち始める。


「……ビアンカ。俺はまた、お前を俺の事情に巻き込むことになるだろう」

「え……」

「全てを知った時、お前が俺をどう思うかは、わからない。だが、これだけは覚えておけ。ビアンカ──俺は何があろうと、お前だけは守り抜く」


真っ直ぐに、熱い想いを告げられて、ビアンカの胸も熱くなった。

……ルーカスの全てを知った時。彼が彼である背景を知った時、自分が一体どう思うのか。

確かに不安でもあるけれど、それ以上に今は、彼を知りたいという気持ちの方が強い。

ビアンカはルーカスのすべてを、知りたいのだ。


「……問題ないわ」

「…………」

「私だって、何があってもあなたの手は離さないと誓ったから。だからあなたは堂々と、戦って。いざとなったら私も、少しくらいは応戦するから安心して──」


と。ビアンカが言いかけたところで、言葉は彼の唇に、奪われた。

──不意打ちの、キス。

結局唇を奪われたビアンカは、目を見開いたまま、固まる以外できなかった。

 
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