御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
靴を脱いで上がってくる彼からバッグを受け取る。
すると彼は私の頭を一度クシャッと撫でる。


「今日はよく頑張った」

「えっ……。いえ、いきなり失敗してすみませんでした」

「もうその話はこれで終わりにしよう。英莉に叱られる」


私を『英莉』と呼ぶ彼は、仕事のときとは違う柔らかい表情を見せる。


「叱られる?」

「仕事しか知らないつまらない人間になるってさ」

「あ……」


たしかにそうだ。


「あぁ、それと英莉」


彼はおもむろにジャケットの胸ポケットから財布を取り出し、一万円札を何枚も私に差し出す。


「これ、食費だ。カード派だから、今持ち合わせがなくて。足りなくなったら言ってくれ」

「足りなくなったらって……多すぎます」


『持ち合わせがない』なんて言うくせして、数えると十枚もある。
隣のスーパーは私がよく通った激安スーパーより値段は随分高めだけど、こんなに預かれない。
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