御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「そんなことは……」


勢いのよかった桑田さんの声が小さくなっていく。


「株式運用部は、自分の価値より、顧客を優先できるヤツばかり集めてある」


もしかして、一木さんの採用基準はそこなのかもしれない。


「ファンドマネージャーとして有能なヤツは他にいくらでもいる。でも、俺たちは他人の資金でゲームをしているわけじゃない」

「そんなこと、わかってます」


桑田さんは少しムキになって言い返す。


「いや、わかってない。今回のことで、ダイオー電機の社員の家族のことまで考えたか?」

「そこまでは……」

「もう少し、猶予をやる。津川の下で働きながら、自分の姿勢を見つめなおせ」


以前とは違い落ち着いた口ぶりで諭すように話す一木さんだけど、その言葉は厳しかった。

でも、彼の言う通りだ。
毎日何億も動かしていると、取引のことで頭がいっぱいになりそういうことを忘れがちになってしまうのかもしれない。
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