御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
その日私は定時で席を立ち、一目散に一木さんの家に向かう。

バッグの中には彼のスマホ。

津川さんには渡せなかったことを言えなかった。
あのふたりの会話を聞いていたことがバレてはまずい。


「ただいま帰りました」


小声にしたのは、もしかしたら彼が寝ているかもしれないと思ったからだ。
返事はなかったが、リビングに明かりが灯っていて、足音を立てないようにドアを開けた。


「やっぱり……」

彼はジャケットを脱いだだけの姿で、ソファで眠っている。
もう限界だったに違いない。

寝室から毛布を引っ張り出してきて彼にかけつつ、そっとネクタイに手を伸ばす。
なんだか苦しそうだったからだ。

彼が起きてしまわないように、そーっとネクタイを抜くことには成功。

今度はシャツのボタン。
せめてひとつだけでも外してあげたいと格闘していると、彼の首に手が触れてしまった。


「英莉か」

「起こしてごめんなさい」

「いや、構わない」
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