御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
私がグローバルアセットマネジメントに就職した頃からその関係がうまくいかなくなり、一木さんが目をかける私のことが気に食わなくなった。

そう考えれば自然だ。


一木さんは彼女がいるのに自分の部屋に他の女を住まわせたりするような人じゃない。

たとえあのとき、私が住むところがなくて困っていたとしても、そして家政婦だったとしても……そんなことをするわけが、ない。


「英莉」

「あっ、あゆみ。もう上がり？」

「うん。なんか元気ないね。さっきの人、怒ってたみたいだけど……」


あゆみにバッチリ見られていたらしい。


「会社の先輩なの。私がドジばかりするから」


やっぱり私は生意気なんだろうな。

経済について勉強すらしたことがなかった私が、こんな一流会社に突然就職できて、なおかつ一流の人たちの中で過ごさせてもらっている。

だからといって自分がすごいとは少しも思わないし、毎日が勉強だ。

でも、私にだってちっぽけなプライドはあったのに……それすら本当は主張してはいけないのかもしれない。
< 215 / 344 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop