御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「でも、英莉が来て冷静になれた。もちろん、これからも会社を導ける男でいたいとは思ってる。でも、心が満たされていないと幸せじゃないんだってわかった」


私が仕事をセーブするように言うまでは、心が満たされていなかったということだろうか。


「今は、幸せですか?」

「そうだな。これ以上の幸せを求めたら、バチが当たる」


彼は少し照れくさそうに微笑み、じっと私を見つめる。


「でも、英莉のことは俺がもっと幸せにする」

「……はい」


きっと彼の言葉に嘘はない。
彼と一緒なら、幸せになれる。


「それにしても、ちょっと頑張りすぎて疲れたな」


な、なに言ってるの?
彼の発言に唖然としていると、クスクス笑われてしまった。


「英莉が悪いんだからな。英莉が俺を夢中にさせるから悪い」

「どうして私?」

「どうしても」


白い歯を見せる彼は、会社にいるときとはまるで違う穏やかな表情で、私の髪を優しく梳いた。
< 237 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop