御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
「いえ、もうお会いしません」


今までになくはっきりと言ったからか、彼は目を丸くして驚いている。


「夏目さんとは、もうお会いしません。私、好きな人がいるんです」


言ってしまった。
ダメだ。淳也さんを忘れるなんて、やっぱりできない。


「だから、無理だよ。あの人は別世界の人だよ?」


私は淳也さんとは言わなかったのに、夏目さんはその相手が淳也さんだと決めつけた。
まあ、その通りではあるけど。


「私が勝手に好きなだけです。それで私は幸せです。ですから、これで最後にしてください。失礼します」


そう言い残して彼の前から走り去った。
「蓮川さん」と呼ばれたけれど、振り向くこともしなかった。

私、嘘ついちゃった。
好きなだけで幸せなんて、本当は嘘だ。


「これで、よかったのかな」


なにが正しいかなんてまったくわからない。
でも、自分の気持ちに正直に従えば、こうするしかなかった。
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