御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
エレベーターが四十三階に到着しドアが開いたので、一度深呼吸してから一歩を踏み出すと……。


「キャッ」


突然伸びてきた手に腕をつかまれ、大きな声が出てしまう。


「英莉。どこに行ってた」


それは、一番会いたくなかった淳也さんだった。

どうして? 
彼はあきらかに待ち構えていた。これは偶然じゃない。

もしかして、すみれさんが連絡したの? 
あっ、このハンカチも、淳也さんに会わせるための口実?

やっと合点がいった私は、なにも言わずにただうつむいた。


「行くぞ」


淳也さんは私の手を引き、部屋へと向かう。


「あっ、あの……私はハンカチをお返しに来ただけで……」


必死に手を振り払っても、彼の手が緩むことはない。


「俺が返しておく」

「でも、大切なものだからと……」

「お前のほうが大切だ」


彼の言葉を聞き、抵抗できなくなった。
まだそんなふうに、思ってくれているの?
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