御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
彼とこうして穏やかな時間を過ごすのは久しぶりだ。

私がカフェモカを口にすると、彼もカップを口に運ぶ。


「ここは俺たちが始まった場所だ」


カップをソーサーに戻した淳也さんが、そう言いだした。


「そうですね」

「あの日、ここに来なければ、英莉と今こうして向き合ってエスプレッソを飲んでなかった」


たしかに、そうだ。
あの日、チケットがすんなり取れて彼が北海道に旅立っていたら、私たちは客と店員のままだった。


「そして、こんなこともしなかっただろう」


彼は突然私の左手を持ち上げ……まぶしいほどキラキラ輝く指輪を差し入れる。


「淳也さん、これ……」

「英莉。結婚、しよう」


いつになく真剣な彼に、心臓の高鳴りが最高潮に達する。

彼が私との結婚のために、必死に走ってくれたことは百も承知だ。
だから、近い将来こういう場面が訪れると信じていた。

でも、いざそのときが来ると、感動で胸が震えて、他の言葉が出てこない。


「……はい」
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