放課後4時10分、校舎5階で君を待つ。
そういえば、と廊下からする二人の喧嘩口調の声を聞きながら思い出した。
二人がもうすぐ1年記念日だったことに。
莉奈は惚気る事を滅多にしないけど、結局は彼氏のことが大好きというのが一緒にいて伝わってくる。
いいなー・・・。いつか私も、誰かを大好きになったり、誰かにヤキモチ妬いたりするのかな。
「・・・・・・・・・はぁ、」
駄目だ、私の青春終わってる。
そりゃあ恋だけが青春の全てとは言わないけど、やっぱり莉奈達を見てると羨ましくならないわけがない。
(すきなひと、か~・・・)
なんて心の中で呟いてみたものの、浮かび上がる人物像が誰一人といない事に虚しさを覚える。
本日二度目の小さく呟いた溜息は「おーい、大地」という声にかき消されてしまった。