放課後4時10分、校舎5階で君を待つ。


呼ばれたその名前に思わずドキッとする。


分かってはいるものの彼の名前を呼んだ葉月(ハヅキ)君のいる、教室の後ろのドアに視線をやってしまう。



「よっ、葉月」



そこには笑顔で教室に入って、近くの席に腰を下ろす日向君の姿が。



次第に彼の周りには数人の男子が集まりだした。


・・・本当、莉奈が言ってた通り“学年の人気者”なんだな。




「で、お前A組に何しに来たんだよ」

「平松が教科書借りに来たから俺もついでに」

「とかいって俺らに会いたかったんじゃねーの?」



ハハハッとその場に明るい声が響いた。普段から明るいクラスだが彼がいるだけでこんなにも雰囲気が変わるものなのか。



「はぁ?んなわけねぇよ」

「照れんなよ大地ー」

「お前らとことんうざいな!ってか平松遅くね?」



キョロキョロと教室を見回す日向君。そんな様子を無意識のうちにボーッと見ていたようで。





「・・・―――、」



気が付けば、彼と瞳が合っていた。


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