[実話]16歳〜私の生きた道〜
家に着くとあやめちゃんのお母さんの長谷川さんが、額(ひたい)にびっしりと脂汗(あぶらあせ)をかいて、唇を真っ青にして玄関に倒れていた。
破水してしまっているようですぐにでも生まれてしまいそうだ。
素手で赤ちゃんをとりあげるわけにもいかないから、急いで家の中から乾いたタオルを何枚か持って長谷川さんのもとに戻った。
「痛い~!!!! 生まれる~!!! 死ぬ~!!!!」
長谷川さんはとても苦しそうで額の汗を拭いてあげて手にタオルを握らせてあげるとものすごい力で引っ張られた。
「生まれる!!!!! 生まれる~~~!!!!」
女性の声とは思えないほどの声で叫ぶ姿に圧倒されながら
「大丈夫ですから頑張ってください!! もうすぐ救急隊の人も来ますから」
あやめちゃんも
「お母さん頑張って!!!!」
と泣きながら励ましていた。
そんなやり取りを何度か繰り返すと、救急隊の人が到着する前に、赤ちゃんの頭が出てきた。
私は、その赤ちゃんをタオルでそっと包みながらとりあげた。
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