強引社長といきなり政略結婚!?

「――朝比奈さん!?」

「悪いけど、俺にしっかり掴まって」


馬に乗せられるかと思いきや、朝比奈さんは私をお姫様抱っこしながら歩き始める。


「リンダ、ついておいで!」


そう声をかけると、リンダが彼の指示に素直に従い歩きだす。


「あの!」

「そんな状態じゃ馬には乗れないだろ。このまま歩いて戻る」

「でも距離が!」


馬ならすぐの距離でも、私を抱き上げたまま事務室まで戻るなんて無謀すぎる。


「いいから、俺に手を回して」


真剣な顔だ。
そんな表情を見てしまえば、とても拒否なんてできない。
それで彼の負担が少しでも軽減されるならばと、そーっと左腕を回す。すると思いのほか体が密着するものだから、余計な緊張に包まれた。

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